東京工業大学
キャンパス革新オフィス

キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031

次なる100年への飛躍

-キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031の目標と位置づけ-

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東工大の挑戦と決断

国立大学法人東京工業大学は、1881年の東京職工学校からスタートし、2021年に創立140周年を迎えました。
本学はこれまでの歴史において、国内有数の理工系大学として、最先端の教育研究を推進し、多様な工業人を社会に輩出してきましたが、昨今の世界の状況は大きく変化しつづけており、第6期科学技術・イノベーション基本計画等においても、来たるべきSociety5.0やカーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションの創出が期待されています。また、新型コロナウイルスによるパンデミック後への対応も喫緊の重要課題となっています。
「世界最高峰の理工系総合大学」を目指す本学としても、分野を超えた協調による「理工系の再定義」という新たな挑戦を進めつつ、これら世界的な課題を解決できる高度専門人材を育成していくため、2016年からの学院制移行を伴う大改革を進めています。2018年の指定国立大学法人への指定を受けて、田町キャンパスの再開発という画期的な決断をし、2030年頃の供用開始に向け事業をスタートしました。今後3つのキャンパスの個性を高め、益々の発展を目指していきます。

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多様性をもったイノベーション創出環境の実現

この「キャンパス・イノベーションエコシステム構想2031」は、田町キャンパス再開発を契機として、3キャンパスを革新し、本学が生み出す知、人及び資金が循環し、さらにキャンパス外との有機的、発展的な産学官連携のネットワークに繋がる、本学ならではの「キャンパス・イノベーションエコシステム」を戦略的に構築していくことを目標としています。
本学は歴史的にイノベーションを生み出し続けるという気風をもち、リベラルアーツの素養を兼ね備えた多くの優れた研究者や学生たちが集まっています。これらの人材、知財及び資金等、多様なリソースが循環し、新たなイノベーションを生み出すことができる環境をつくり、未来社会に貢献していきます。
本学創立150周年の節目となる2031年までの今後10年を「次の100年に向けた環境整備の10年」と位置づけ、本構想を、本学の長期目標を実現するための戦略の一つとして、産学官連携のさらなる強化と革新的なキャンパス環境整備を強力に推進していきます。

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本構想の位置づけ本学の目的及び使命

大学は、将来、工業技術者、工業経営者、理工学の研究者、教育者として指導的役割を果たすことができる有能善良な公民を育成する目標のもとに、これに必要な一般的教養と専門的知識とを学生に修得させるとともに、理学及び工学に関する理論と応用を研究し、その深奥を究めて科学と技術の水準を高め、もって文化の進展に寄与し、人類の福祉に貢献することをその目的及び使命とする。(国立大学法人東京工業大学組織運営規則第2条)

東工大の長期目標/国や地域の計画

「次の100年に向けた環境整備の10年」

東工大は新たなイノベーションを生み出す環境をつくります。

東工大の歩み

本学が目指す成長戦略

-キャンパス・イノベーションエコシステムの構築-

Tokyo Tech Cross - Campus Innovation Ecosystem

東京工業大学 キャンパス・イノベーションエコシステム

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大学資源の好循環によるエコシステムの発展

東京工業大学の変わらぬ理念である「新産業創出」のもと、新たなイノベーションを起こしていくため、本学が生み出す多様な知、人及び資金が3つのキャンパスを循環し、さらにキャンパス外との有機的、発展的な産学官連携のネットワークに繋がる、本学ならではの「キャンパス・イノベーションエコシステム」を戦略的に構築していきます。
そのためには、教育・人材、資金・投資そして科学・技術の多様性を確保し、一定の密度をもって、相互にネットワークを形成していく必要があります。本学では多様な研究リソースを有しており、これらの研究成果を活用した産学連携や社会実装を通じて、持続的に世界・地域社会に貢献していくことができるイノベーションエコシステムの構築を目指します。

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ソフトとハードが連動したシステムの高度化

キャンパス・イノベーションエコシステムを構築していくためには、ソフトとハードが連動した高度で具体的なシステムづくりが重要です。本学では田町キャンパス再開発に先立ち、附属科学技術高等学校の移転を含む大岡山キャンパスの先行移転整備を進めており、今後すずかけ台キャンパスの再開発によって、ソフト面を支える3キャンパスのシステム基盤を整備していきます。

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学内の推進体制と学外ネットワークの強化

キャンパス・イノベーションエコシステムの構築に向け、本学がこれまで進めてきた産学官連携の取り組みをさらに強化し、本学の持つ教育研究リソースを活用した大規模組織間連携やスタートアップ育成を推進していきます。産学連携を推進する学内組織であるオープンイノベーション機構や研究・産学連携本部が主体となって、未来社会DESIGN機構やアドバンスメントオフィスとの連携により、バックキャストによる新産業創出や、地域社会との好循環を生み出すエコシステムをグローバルに拡大していきます。
今後10 年を目途に、関係行政、他大学および企業等との連携強化や、本学が参画しているイノベーションプラットフォーム事業を推進していき、産学官によるイノベーション・ネットワークを順次拡大させていきます。

世界展開を目指すキャンパスの革新

-エコシステム構築に向けたキャンパス再開発コンセプト-

3キャンパスの再開発コンセプト

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各キャンパスの役割と方向性

本学では2015年に策定した「3キャンパスの総合的利用方針」を踏まえ、「キャンパス・マスタープラン2016」を策定し、キャンパス環境の改善を図ってきました。周辺を住宅地に囲まれた都市型の大岡山キャンパス、JR田町駅前に立地する超都市型の田町キャンパス、そして周辺を緑に囲まれた郊外型のすずかけ台キャンパス、これら3つのキャンパスをそれぞれの立地特性や役割に応じて、再開発・再整備を行っていきます。
大岡山・田町キャンパスは周辺を商業・住宅地に囲まれているため、大型の実験研究は、基本的にすずかけ台キャンパスが担うことになります。緑豊かなすずかけ台キャンパスは、イノベーションを生み出す研究拠点として大きなポテンシャルを持っています。田町キャンパスの再開発と並行して、多様な地域貢献を含め、横浜市との連携協力のもと再開発を進めていき、リサーチキャンパスとしての魅力を高めることで、相乗的なイノベーション環境を構築していきます。
再開発・再整備にあたっては、「食・住・屋外を含む研究環境の改善」、「既存施設・空間の利活用」、「キャンパスDX化の推進」という3つの方向性を定め、地域社会、世界へと繋がる魅力的なキャンパス、そして“クリエイティブコモンズ”を形成していきます。

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再開発における投資戦略

前述のとおり、本学は「世界最高峰の理工系総合大学の実現」 を目指し、“優秀な人材(研究者・学生)の確保”、“イノベーションの創出”および“研究成果の社会実装”を強力に推進していきます。そのためには、人材への投資と共に、優れた成果を生み出す環境整備が重要であると認識しており、3キャンパスの立地特性を活かし、かつ有機的連携を生み出す投資を行っていきます。
グローバル水準のキャンパス環境整備は、人材を誘引し、研究を推進するための戦略的投資であり、成長戦略に資するものです。本学が生み出すキャッシュフローを効果的に投資するための評価軸も併せて整備していきます。
これらのキャンパス革新により、3キャンパス間の流動性を飛躍的に高め、次の大岡山キャンパスの大々的な再整備に繋げていきます。

ロードマップ

ロードマップ